英単語の記憶と脳の仕組み|科学的に最適な学習法とは

英語人間の脳の記憶メカニズムを示す図解

あなたの記憶力に責任はない!英単語が覚えられない本当の理由

英語人間の脳の記憶メカニズムを示す図解

「何度も英単語を書いて覚えようとするのに、すぐに忘れてしまう…」

こんな経験、ありませんか?

英単語学習に挫折した経験を持つ人は驚くほど多いものです。単語帳を何周しても覚えられない、テスト前に必死で暗記しても試験が終わるとすぐに忘れてしまう…。そんな悩みを抱えている方に朗報です。

実はそれ、あなたの記憶力が悪いわけではないんです。

むしろ、人間の脳の仕組みを考えると「暗記が難しい」のは当たり前なのです。私たちの脳は、単語と意味を機械的に覚えるようには設計されていないからです。

では、脳の仕組みに合った英単語の覚え方とは?

この記事では、脳科学の観点から見た効率的な英単語学習法について解説します。あなたが今まで知らなかった「楽して覚える」方法を知れば、英単語学習の効率は劇的に向上するでしょう。

目次

脳科学から見た記憶の仕組み:3種類の記憶とは

英単語学習の効率を上げるには、まず脳がどのように情報を記憶するのかを理解する必要があります。脳科学的に見ると、記憶には大きく分けて3種類あることがわかっています。

意味記憶・エピソード記憶・手続き記憶の3種類を示す図解

意味記憶(Semantic Memory)

言葉や知識に関する記憶です。例えば「apple はリンゴ」という知識がこれにあたります。単語と意味を直接結びつける記憶で、多くの人が英単語学習で最初に試みるのがこの方法です。

エピソード記憶(Episodic Memory)

個人的な体験や出来事の記憶です。「初めて海外旅行で Apple を頼んだ時に出てきたのが焼きリンゴだった」などの体験が、このエピソード記憶に分類されます。感情を伴うことが多く、非常に強く記憶に残りやすい特徴があります。

手続き記憶(Procedural Memory)

運動や習慣的な行動の記憶です。「自転車の乗り方」や「キーボードのタイピング方法」など、体で覚える記憶がこれにあたります。意識せずに体が自然と動くような記憶です。

英単語を覚えるには、このうち意味記憶エピソード記憶が深く関係しています。特に注目すべきは、多くの人が意味記憶だけに頼った学習をしているという点です。

なぜ単語を覚えても忘れてしまうのか?意味記憶の限界

「一生懸命、単語を覚えたのに、3分経ったら忘れていた…」

こんな経験、数え切れないほどしてきたのではないでしょうか。

実は、意味記憶だけに頼った学習(単語と意味を丸暗記する方法)は、とても非効率なのです。なぜなら、脳は単なる情報の羅列を記憶するのが大の苦手だからです。

エビングハウスの忘却曲線を示すグラフ

TOEIC900点を持つ東京大学の理系学生は、「英語の勉強で一番しんどいのは、この単語暗記の部分」と述べています。そして「英単語さえ覚えてしまえば、その後の学習効率も劇的にアップする」とも言っています。

しかし、多くの人は効率の悪い方法で単語を覚えようとして挫折しています。単語帳をただ眺めたり、何度も書いたりする方法は、短期的には覚えられても長期的には定着しないのです。

一方で、エピソード記憶は「体験」と結びついているため、強く定着します。

「旅行先で見たもの」「面白いエピソード」などは、10年20年前のことでも昨日のことのように思い出せることがありますよね?

これこそが、脳の記憶メカニズムの特性です。英単語学習も同じで、「ただの暗記」ではなく、「語源」や「語呂合わせ」を使って、英単語を記憶に残るエピソードと結びつけることで、圧倒的に効率よく覚えられるのです。

人類の進化から見る脳の特性:なぜエピソード記憶が優れているのか

皆さんは100年前と聞くと、とても遠い過去のように感じますか?

でも実は人間の脳は、何千万年という長い進化の過程で発展してきたのです。

人類の脳の進化の過程を示す図解

・最初の霊長類の誕生は6000万年前。

・最初の人類の歴史は700万年前。二足歩行を始め、地上で生活を送り始めました。

・現生人類であるホモ・サピエンスが登場したのは30万年前です。

では、人類が「文字」を体系的に使い始めたのは?

なんと、たった数千年前なのです。

つまり、私たちの脳は、「文字を覚える」ことには全く長けていない。圧倒的に経験不足なのです。ボール遊びを覚えたばかりのヨチヨチ歩きの赤ちゃんが、大谷翔平の球を打てますか?打てませんよね。

その代わりに、私たちの脳は「エピソードを覚える」ことには途方もない練習を繰り返し、経験を積んできたプロフェッショナルです。

例えば、「虎が襲ってきた!」など、生命維持に関わるエピソードを即座に記憶する能力や、「この道を進めば水がある!」など、生活に役立つ情報を長期記憶する能力は、人類の生存に不可欠でした。

このように、人類の脳は「エピソード記憶」に圧倒的に最適化されているのです。エピソード記憶によって、人類はマンモスやライオンなどの凶暴な野生動物をも打ち返し、生存競争を乗り越えて、これだけの発展を可能にしてきたのです。

英単語学習にエピソード記憶を活用する具体的方法

「語源なんて、ただの語学オタク向けの知識でしょ?」

そう思っていませんか?

実は語源を知ることは、単語の背景が分かり、単語に強烈なエピソードを持たせる最高の方法なのです。

語源学習の例を示す図解

1. 語源で覚える方法

語源を知ることで、単語の背景が分かり、単語に強烈なエピソードを持たせることができます。

例えば、「bene-(良い)」+「dict(言う)」= benediction(祝福)

語源を知れば、「mal(悪い)」を組み合わせた malediction(呪い)も簡単に覚えられます!

このように、語源を知ることで関連する単語も一気に覚えられるようになります。単語同士のつながりが見えてくると、記憶の定着率も格段に上がるのです。

2. 語呂合わせで覚える方法

面白い語呂合わせを使えば、強力なエピソード記憶が生まれます。

語呂合わせ学習法の例を示す図解

例えば、「commensurate(見合っている)」 → 米(comme)と酢(su)のレート(rate)が釣り合っている!

「米と酢が同じ値段で売ってるよ!!!」

commensurate という文字だけ眺めて覚えるのと、圧倒的に覚えやすさが違いますよね。

ちなみにcommensurateは英検1級レベルの難単語です。それを「米と酢が同じ価格やん!」で、一撃に仕留められてしまいます。

このように、意味記憶ではなく英単語をエピソード記憶と結びつけることで、「楽」に英単語を覚えることができるのです。

でも、毎回「米と酢が同じ価格やん!」って唱えるのはちょっとなぁ…と思いましたか?

エピソード記憶から意味記憶へ:自動化のプロセス

心配無用です。実は、エピソード記憶で覚えた単語は、繰り返すうちに意味記憶に移行します。

エピソード記憶から意味記憶への移行プロセスを示す図解

何度かその単語に出会って、エピソード記憶で思い出していると、知らないうちに、もう語呂合わせを思い出さなくても、瞬時に意味がわかるようになります。

これが、脳科学的に最も効率的な英単語の覚え方なのです。

コロンビア大学の研究でも、伝統的な英単語の意味を覚える学習法よりも、写真やトピックと関連させて覚えたほうが、英単語テストのスコアが高いという結果が出ています。

また、東京大学大学院神経生理学准教授の池谷氏は、何にでも興味を持つ「好奇心」と「探究心」こそが、記憶にとって非常に重要であると指摘しています。大人になって記憶力が落ちたと感じる原因の一つは、何事に対しても興味が薄れていくためだとも述べています。

つまり、英単語学習においても「面白い!」と思える要素を取り入れることが、記憶の定着に非常に効果的なのです。語源や語呂合わせは、まさにその「面白さ」を提供してくれます。

記憶力は年齢とともに向上する!大人の脳の特性を活かした学習法

「もう年だから英語は無理…」

そんな思い込みに科学的根拠はありません。

大人の脳の学習能力を示す図解

脳科学研究により、神経回路(シナプス)の数は歳とともに増加することがわかっています。これは、歳とともに記憶の容量が大きくなるということを意味しています。記憶の容量が大きくなるということは、歳をとっても英語は習得できるということです。

人の脳内には数百億個の神経細胞(ニューロン)があります。その数は歳とともに減少することがわかっています。1日に数万個単位という、ものすごいスピードでニューロンは死んでいくそうです。

一方で、シナプスはそれらニューロンをつなぐ役割を担います。そのシナプスは、歳とともに減少するどころか増加するということがわかっています。記憶の容量はシナプスの数で決まります。記憶力は、年齢とともに低下するどころか向上するということなのです。

「歳をとって記憶力が落ちたから英語は無理だ」という言い訳は科学的には通用しません。

ただし、子どもと大人では脳の性質が異なります。子どもの脳は丸暗記が得意ですが、その能力は歳とともに低下します。一方で、歳とともに物事をよく理解して、その理屈を覚える能力が高くなります。

だからこそ、大人の英単語学習には「なぜそうなるのか」という語源や、面白い語呂合わせを通じたエピソード記憶の活用が効果的なのです。

効率的な英単語学習のための実践ステップ

ここまで説明してきた脳科学的アプローチを実践するための具体的なステップを紹介します。

効率的な英単語学習の実践ステップを示す図解

1. 自分に合った学習スタイルを見つける

人によって効果的な学習方法は異なります。視覚的に覚えるのが得意な人、聴覚的に覚えるのが得意な人、体を動かしながら覚えるのが得意な人など、様々なタイプがあります。

学習管理アプリ「Studyplus」で大学生248人にアンケートを実施した結果、英単語の暗記方法として、単語帳などを使って暗記した「紙派」が70.5%と多数を占め、スマホアプリなどの「デジタル派」は23.6%、紙とデジタルの両方を使った人は5.9%でした。

紙派の人は「手書きのほうが勉強したという達成感がある」「スマホは作業になってしまい、記憶できない時がある」などの理由を挙げています。一方、デジタル派は「ゲーム感覚で覚えられる」「スキマ時間にやりやすい」などの理由を挙げています。

自分に合った方法を見つけることが、継続的な学習の第一歩です。

2. 語源や語呂合わせを活用する

先ほど説明したように、語源や語呂合わせを活用することで、エピソード記憶を刺激し、記憶の定着率を高めることができます。

例えば、「bene-(良い)」という接頭辞を知っていれば、benefactor(恩人)、benevolent(慈悲深い)、beneficial(有益な)など、多くの単語の意味を推測できるようになります。

3. 複数の感覚を使って学習する

「見る」「聞く」「書く」「話す」など、複数の感覚を使って学習することで、記憶の定着率が高まります。

紙派からは「マーカーで印をつけたり、紙に書いてつづりを確認したり」と「書いて覚えた」という回答が多く、デジタル派からは「音声を聞いたり、クイズ形式で覚えたり」という回答が多く見られました。

どちらの方法も、複数の感覚を使って学習するという点では効果的です。

4. 定期的な復習を行う

英単語をずっと覚えておくには、覚えた単語も1か月に1度は復習することが大切です。覚えたと思って放っておくと、脳は「放置されている=いらない情報」とみなし、捨ててしまうからです。

脳には一瞬の間でも、膨大な量の情報が入ってきています。もしそれらを漏れなく全て記憶すると、脳は5分でパンクすると言われています。

なので、脳は保管すべき情報かいらない情報かを選別し、いらない情報を捨てます。捨てられるまでの期間は、どんなに長くても一か月。一か月以上放置すると完全に脳から消えてしまい、テスト直前の復習で一から覚え直さなければいけなくなってしまうのです。

まとめ:脳科学に基づく最適な英単語学習法

この記事では、脳科学の観点から見た効率的な英単語学習法について解説してきました。

脳科学に基づく英単語学習法のまとめを示す図解

ポイントをまとめると:

1. 人間の脳の仕組みを考えると「暗記が難しい」のは当たり前であり、記憶力の問題ではありません。

2. 記憶には「意味記憶」「エピソード記憶」「手続き記憶」の3種類があります。

3. 意味記憶だけに頼った学習(単語と意味を丸暗記する方法)は非効率で、短期的に覚えても忘れやすいという問題があります。

4. エピソード記憶は体験と結びついているため強く定着します。

5. 人類の脳は「文字を覚える」ことには適していないが、「エピソードを覚える」ことには非常に長けています。

6. 語源や語呂合わせを使って英単語をエピソード記憶と結びつけることで効率的に覚えられます。

7. エピソード記憶で覚えた単語は、繰り返すうちに意味記憶に移行します。

8. 記憶力は年齢とともに向上するため、大人になってからでも効率的な方法で英単語を学習できます。

英単語学習に悩んでいる方は、ぜひこの記事で紹介した脳科学的アプローチを試してみてください。語源や語呂合わせを活用し、エピソード記憶を刺激することで、英単語学習の効率は劇的に向上するはずです。

あなたも今日から、脳の仕組みに合った「楽して覚える英単語学習法」を始めてみませんか?

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